12月25日プロダクトデザイナーの柳 宗理さんが96歳で亡くなられました。
僕が柳さんを知ったのは大学生くらいの時でしょうか。
仕事に着いてすぐに「エッセイ」という著書に出会いました。
デザインされた多くのプロダクトももちろん素晴らしいのですが、
この本が僕に与えた影響はとても大きかったと思います。
まず、最初の章にて
「アノニマス・デザイン」
という言葉が登場します。
これはあるデザイナーがデザインしたとかではなく、ジーパンや化学試験容器などのように用によって生まれ、長い年月をかけて形づくられたデザインの事を指します。
「用の美」を積み重ねて生まれた、これらの形は、きっとこれから先も僅かな変化を経て世の中にずっと残っていくのだろうと思います。そして自分の身の回りを見返すことで、実は素敵な「アノニマス・デザイン」を発見できるかもしれません。
この本で、僕が特に夢中になったのは「新しい工藝・生きている工藝」という章です。
柳さんが優れていると感じる現代のプロダクトについて書いておられます。
chemexのコーヒーメーカーやBRAUNの電卓、LAMYの万年筆など、
この本を見て、いろいろな身の回りのものを買いそろえたものです。
今の僕のプロダクトに対するものの見方を養ってくれたのは、この本かもしれません。
現代のデザインは自分も含め、スマートにすっきり、効率良くというのが重要視されますが、この本を見返すことで、今少し時間をかけて、手をかけて、あと10年長く使ってもらえるような仕事ができればいいなと思いました。
あらためてこういうことを考えさせて頂いてありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。